『The Purple Album』/Whitesnake

Purple Album

【収録曲】

1.Burn
2.You Fool No One
3.Love Child
4.Sail Away
5.The Gypsy
6.Lady Double Dealer
7.Mistreated
8.Holy Man
9.Might Just Take Your Life
10.You Keep On Moving
11.Soldier Of Fortune
12.Lay Down Stay Down
13.Stormbringer
14.Lady Luck (Bonus Track)
15.Comin Home (Bonus Track)

【作品概要】

2015年発表。
デイヴィッド・カヴァーデイルがディープ・パープルに在籍していた時代の三作『紫の炎』『嵐の使者』『カム・テイスト・ザ・バンド』からの楽曲を「ホワイトスネイクとして」カヴァーした作品。
本作は単なるセルフカヴァーではなく、デイヴィッド・カヴァーデイルが自身のキャリアの出発地点を振り返ったトリビュートをコンセプトとしている。
また、各楽曲のアレンジ、演奏について「スネイクアップしている(ホワイトスネイク流にという造語)」と語る自信作。

【第三期ディープ・パープルに対する僕の主観】

音楽談義で、よく「あのバンドで一番好きなアルバムは?」という話題がありますが、アルバム単位じゃなく「二枚をたして曲を厳選したお気に入りCD」と答えちゃうのがディープ・パープルです。『紫の炎』と『嵐の使者』ですね。

今でも鮮明に覚えてるんですが、中学生の頃、カルフォルニア・ジャム1974のライブ映像を見終わったときの衝撃ですね。
無駄に低音が出すぎてたり、グレン・ヒューズをフロントマンだと勘違いしたカメラワークもイマイチ。肝心のリッチー・ブラックモアがイライラしながら演奏。救いはイアン・ペイスのドラミングが尋常じゃない点でしょうか。
でも、曲が進むにしたがって、ぐいぐい引き寄せられちゃうんです。リッチーがアンプに火を付けて爆破するシーンはそこだけ見ちゃうと「は?それで?」ですが、最初から観ているとドラッギーというか、不穏のメーターが振り切った瞬間に思えたわけです。「やっちゃいけないことをしちゃった」みたいな。高級なシーツの上にわざとカレーをぶちまけたりとか、札束を全身に巻いて火に飛び込むとか。
その結果、よくわかりませんが、「俺もバンドやりたい!こんなのがいい!」という衝撃。
<Deep Purple – Live At California Jam 1974>


ディープ・パープルの作品に触れたのはベスト盤が最初でしたから、あまり収録されていない第三期、第四期の曲を聴きこんで多面的な部分にも気づかされたこともありますね。とにかく、僕にとって天才集団というか、夢と狂気を与えてくれたラインナップなのです。

【選曲について】

文句なしです。既存のベスト盤に収録されていない曲も何曲かあります。特にThe Gypsyは僕の中で「この世に存在する美しい曲」の一つです。デビュー当時、ディープ・パープルは「第二のドアーズ」をイメージしてアメリカに売り込んだそうですが、奇しくもハードロックバンドになってから誕生したRiders On The Stormのように美しくて寂しげな名曲だと思います。
リッチー・ブラックモア脱退後の『カム・テイスト・ザ・バンド』から四曲もやってくれたのも嬉しいですね。

【アレンジと演奏について】

熱狂的なディープ・パープルのファンにケンカ売ってます。はい。デイヴィッド・カヴァーデイル自身が「原曲と比較するようなことはしないで欲しい」と言うのがよくわかります。
でもね、当たり前ですが演奏力は非常に高いです。ふざけてやってるなら「金返せ!」ですが、きっちりやられると話は別です。なので、売られたケンカは買うというわけで癪にさわってもじっくり聴きました。

僕だけじゃなく、熱心なファンなら最も興味があったアレンジはYou Fool No Oneじゃないでしょうか?曲自体は中庸なんですが、ディープ・パープルのメンバーそれぞれの個性を際だたせて圧倒している一曲なんで。
潔いというか、カンサスとかドリームシアターみたいなキャッチーなアメリカン・プログレになってますね。イアン・ペイスの跳ねるビートは再現不可能でしょうから、思い切ったアレンジだと思います。
逆に「これはない」と思ったのがMistreatedで、原曲を踏襲したアレンジじゃなく、ピアノをバックに朗々と歌うなんてアレンジの方が良かったと思います。当時21歳のセミプロ・シンガーだったデイヴィッド・カヴァーデイルのアイディアが初めてバンドに採用された曲ということもあるんでしょうが...。

アレンジが素晴らしすぎて異色というか、別の機会に温めておけばよかったと感じたのがSail Awayですね。正直、客観的に凡曲だと思っていたこの曲がこんな風になるなんて夢にも思いませんでした。
他、Laydown Staydownのイントロのギターがレッド・ツェッペリンのIn The Lightを彷彿させたり、Lady Double Dealerがシン・リジィっぽかったりと、ニヤニヤしちゃうとこがあるんで個人的にはありな作品かと。

【サウンドについて】

「強い思い入れがある」と言いつつ冷めた文体になってしまったのはサウンドですね。安っぽいわけじゃなく、音圧でごり押しする音が個人的に「うーん、耳疲れるなあ」と。ここ最近のホワイトスネイクのアルバムにも言えることなんですが、何度も繰り返して聞きたい音ではないですね。
ディープ・パープルの良さって、トレブリーなリッチーのギターのミドルをジョン・ロードのオルガンで補っていたり、ギターと同格にリード・メロディを弾いているところなんで。The Gypsyにエレピが入っていなかったり、Stormbringerでオルガンが引っ込んでるとこが納得いきません。

【屋号が違っていたらもうちょっと高評価】

おそらく、本作に対して「これは無い」と評価しているファンは「ホワイトスネイク名義だから」という理由があると思います。僕もそう思います。
デイヴィッド・カヴァーデイルが原曲を歌っていて、ジョン・ロードとイアン・ペイスがホワイトスネイクに在籍していたからといって、せいぜい一曲か二曲が許容範囲じゃないかと。本来は「パープル・プロジェクト」とか風呂敷広げて縁故のあるミュージシャンを集められるだけ集めて制作すべきだからです。
デイヴィッド・カヴァーデイルのインタビューにも「カヴァーデイル/ブラックモアというプロジェクトの話が水面下であった」というコメントがあるように、ゲストを招けなかったりプロジェクトとして認められない契約があったのかも知れません。「ホワイトスネイクのメンバーでやるならいいよ」みたいな。

結局のところ、ホワイトスネイクの作品としてはイマイチだが、そこらのトリビュート・アルバムよりもはるかに高い演奏力とアレンジが堪能できるという立ち位置が微妙な作品になったと思います。
「これは無い」と思ったファンは「デイヴィッド・カヴァーデイル・アーカイヴ」というプロジェクト名義なんだと考えれば印象が大分違うと思います。

<Whitesnake – Burn (Official Audio)>


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