破格の人、いや、破格の装置

こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
あー、誰でも通る道かもしらんですが、僕ぁ二十代中頃まで仙人願望がありました。不老不死で妙な術を使う爺じゃなく、こう、誰とも接することなく山の庵に住んで自給自足するっつー。一人っ子なんで好きなことできてりゃ退屈もせんかったですから。
何も為さず、何も遺さないっつーのがひどく魅力的に思えたもんです。いや、今でも魅力的だな。酒密造してニヤニヤしながら暮らすとかな。自家製マムシ酒なんて素敵じゃないですか。酔拳教えたりとか、ねえ?
あ、ちょっと今回は長いっすよ。でもインデックスはつけねーですから。思いつきで書きますから。

先日、ギ装置Rの一周忌を前に法要へ参列、偲ぶ会に参加するため東京へ行ってきました。
羽田に到着した後、ショーグン・ヤマザキさんに呼び出され上野動物園へ。オッサンとベリー・オッサンのカップルでな。
「ぐへへ、今はね、エゾシカの角が一番いい時なんですよ、旦那」と夜の歓楽街を案内されるように見て回りまして、その後健全なカップルや親子連れが休憩するレストランで健全じゃないカップルとしてコーシーをすすりました。
そこでヤマザキさんは言いました。
人はレッテルを貼りたがる。「優しい」とか「美人」とか色々。そこで、ギ装置Rについてどう表現したらいいのか?と。

「ギ装置R、オマエは一体何者なんだ?」。

ある人にとっては善人でも、ある人にとっては悪人と思われるのが人間っつーもんですから、カテゴライズするのはナンセンスだっつーのが一般的な答えだと思います。じゃあ、そういう着地点がしっくりこない場合はどうするの?というのがヤマザキさんの言わんとしているところだと思います。

僕ぁ打算的に人と付き合えません。「コイツと仲良くしとけばお金が貰えるぞ」とか、面倒なだけですし。もっとも、素寒貧な僕に利用価値を見いだす奴もいねーでしょうが。
んなわけで、アプローチされないと応じません。そのアプローチで「コイツは興味深いぞ」と思うかどうかですね。人嫌いなのか人マニヤなのかわからん性格だと自分で思っております。
そんな仙人を夢見る僕にアプローチしてきた奇特な奴がギ装置Rだったと。何故、彼女が僕と友達になろうと思ったのか未だにわかりません。
ギ装置Rを長らく撮ってきたフォトグラファーの平山不二さんなんか、「HPに写真掲載してたから撮ってもらおうと思った」という理由でアプローチされたそーです。
不二さん曰く「当時、HPに写真掲載している人が少なかったからだと思うんですが、じゃあ、誰でもよかったんじゃね?」。
でも、やっぱコズミックなもんがあったんでしょうね。

ちょっと抽象的になります。
世間には目に見えない何本もの境界線があります。善悪だとか法律だとか貧富だとか、ダンゴムシとワラジムシ、うんことカレーとか、まあ色々。
一番厄介なのは、僕らはその境界線の内と外のどちらか、もしくは跨ぐかしなきゃいけないことです。しかも、他の境界線と交じり合ったり平行していることもあります。生きづらいんすから、ホントに。
そこで、まったく異なる境界線を跨いでいる人間が触れ会うとどうなるのか?よく言う化学反応ってやつですね。それを短期間のうちにいくつも起こしたのがギ装置Rだったのではないかと思うのです。

たとえば、ショーグン・ヤマザキさんはギ装置Rを介して、タンタン(丹野徹)は僕を介して共通の友人になりました。ビョーキですよ、ビョーキ。悪いビョーキだな。
おそらく、こういった「多分、一生知り合う機会はなかったろうな」という共通の友人知人を持った方は多いんじゃねーかと思います。
人が本心をさらけ出して生きるのは難しいもんです。できればカッチョよく見られたいです。でも、「自分は世の中に適応できません」と堂々と言えたらどうか?批難より賛同の方が多いんじゃねーですかね。そういった弱い面もさらけ出していたから愛されてんじゃねーでしょうか。

法要と偲ぶ会の翌日、僕ぁ思うところあり、新宿を歩き回りました。二十年近く、通勤や飲みに行くのも新宿でしたから。
「あ、店の前でアホ面下げて食ったケバブ屋が無くなってる」とか「カミさんとよく泊まったスケベホテルがまだある」とか「喫煙コーナーがとんでもねえことになっとるな」とか思い。
駅前のFLAGSにあるタワーレコードへ行き、ギ装置Rがご主人である近藤廣行さんと付き合い始めた頃のことを思い出しました。DIR EN GREYがまだ棚の「D」コーナーに並んでいた頃で、「ダーリンがこのバンドのPV撮ってるのよ。よしよし、来る度に扱いが大きくなってきてる」とニヤニヤしとりました。
映像やっとるとは聞いとりましたが、主に撮っているのがDIR EN GREYと知り「ぶっ飛んだカップルだな!」と驚いたもんです。実際会うといい人なんですけどね。逆に、いい人そーな作品作ってて会うとスゲー嫌な奴もいます。誰とは言いませんが。

時間の都合上、歩いたのは新宿と新大久保だけでしたが、断片化した記憶をまとめるのに有意義なものになりました。
レッテル貼りに話を戻しますが、とかく人は後々まで名前を残したがります。
どっかの社長は大層なハコ貸し切ってコンサート開いて客が全員取引先の人間とかアホなことするし、意味のわかんねーオブジェを作らせてみたり。それでどれだけの人間が名前を覚えてるかって。別に残そうと思わなくてもいいじゃねーか。
ある人が何をして、どういったことになったのか。そういったことは自分で喧伝しなくてもいいもんです。アインシュタインじゃねーですが「人の価値とは自身が得たものではなく、どれだけのことを人に伝えたか」という。
んなわけで、文章書くしか取り柄がねー僕の役目、いや責務、いや使命は、ギ装置Rがどのように破格であったか僕の知る範囲で記すことです。胡散臭い精力剤のランディングページのコピーや嘘の体験談書くのは金貰うときだけですからね。ハイ。

そうそう、ギ装置Rが妹のように気にかけていた美華がしっかりしたお母さんになっていて驚きでした。形見分けで鳥を模したペンダントを迷わず手に取り僕に「はい、これ奥様に」と渡してくれました。彼女も直感力が強いんで、素直に受け取りました。
僕が結婚した直後、「アンタねえ、こういうとこいい加減ちゃんとしなさいよ!」とギ装置Rに色々叱られたもんです。婚姻届にサインしてもらったこともあり、頭が上がらないという。
今回は仕事が休めずカミさんは参列できませんでしたが、どこに行くにも一緒で円満に過ごしております。形見もちゃんとカミさんに渡したさ。
えー、感謝や悲しみ、嬉しさとか色んな感情がわき上がった日だったんで、ホント、何をどうまとめればいいのか…。

とっ散らかっちゃいましたが、最後に。
僕ぁ、昔から自分のことをサージカルステンレスで出来たボディピアスと似たようなもんだと思ってます。異物ですから排除されますし、取り込まれても同化できずに留まるという。
仙人と言えば聞こえはいいですが、そんな存在を引きずりだしてくれたことに最も感謝しなくてはならないかも知れません。
似たような感覚をギ装置Rに触れた人は感じているんじゃねーでしょーか?著名人でさえ、この情報過多の時代じゃすぐ忘れ去られる今、「破格の人であり装置」という言葉以外、思いつきませんね。「キチガイ」の「キ」が更にぶっ壊れて「ギ」。まさにあらゆる世界を繋ぐこの世に二つとない装置だと。そして、その周りには一癖も二癖もある人ばかりというのは愉快じゃねーですか。


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4 Responses

  1. あ、そうですね「破格」ですね。
    ぼんやりと「唯一無二」かなあ、と思っていたのですが、よく考えてみれば世の中全員、草木から昆虫までも唯一無二ですから、こりゃ違うと。

    人間というのは弱いもので、自分が理解不能だと対象を己の地平まで引き下げて、レッテル張りをして安心したくなったりするものです。 んー、でもここで勇気を搾り出して「わからない」の棚にキープしておくことが、肝要かなと思います。

    そう、格を破っているのですから、レッテルの貼りようがないやね。うひゃひゃ。


    蛇足:
    先日の「偲ぶ会」でお会いできた皆さん、何かの才能を発揮されている方々が大勢いらしていたはずなのですが、だ~れも尊大な態度をとるひとがいませんでした。 この辺が「破格の人・装置」理解の一つのヒントになるかもしれませんね。

    • hank より:

      とても印象深いことだったんですが、まだ知り合った頃に「目に見えるものが虚空であって、自分が触れるもので世界が形成されているしたらどうか?」という話題をふったことがあります。
      そこで「それやめて!幼稚園の頃、それ考えて夕方になるといっつも泣いてた」と言っていましたね。もし、「いつギ装置Rに惹きつけられたのか?」と問われれば、その時だったかも知れません。普通なら「はあ、そうですか」で流しますから。

      >だ~れも尊大な態度を~
      これ、行くまで「嫌だなあ」と思っていたことです。ここぞとばかりにお名刺交換の場になったらとても悲しいと思い。大胆なのに控え目というアンビバレンツを孕んだ人間性は友人も同じなんだなあ、と。
      僕ぁ、平常心でいるためにかなり飲んだんですが、ホテルに帰って明け方まで飲んだのに泥酔しませんでした(笑

  2. みか より:

    れれこに繋がったのはハンクのおかげよ~ ありがとう

    • hank より:

      歩いてきたとき、一発でわかったわ。昔はちょっと危うそうな感じだったけど、眼差しがしっかりしてて「大人になったなあ」と。
      今度はジャパさんとか会えなかった人と一緒にお墓参りしたいね。

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