『フィア・オブ・ザ・ダーク』/アイアン・メイデン

1.Be Quick or Be Dead
2.From Here to Eternity
3.Afraid to Shoot Strangers
4.Fear Is the Key
5.Childhood’s End
6.Wasting Love
7.The Fugitive
8.Chains of Misery
9.The Apparition
10.Judas Be My Guide
11.Weekend Warrior
12.Fear of the Dark

【概要】

1992年リリースの、スタジオ・アルバムとしては9枚目の作品。
前作より加入したヤニック・ガーズが作曲にも参加。全英チャート1位を獲得。全米チャートは12位。
同年のドニントン・モンスターズ・オブ・ロックではヘッドライナーもつとめ、当時はファン、メディアともに好意的な評価であったことがうかがえる。
本作をもってVo.のブルース・ディッキンソンが脱退。現在では、あらゆる面でバンドのターニング・ポイントになった作品と解釈できる。

【当時は期待を裏切られた】

僕が初めてアイアン・メイデンのアルバムを購入したのが本作。
まだ高校一年生でして、昼休みのコーヒー牛乳を我慢してお店で手にした時のことは今でも覚えてます。ええ。
初回プレスのみ、ブックレット付きパッケージ!流石、メタルを代表するバンドの新作だ!ゴージャス!凄ぇや!
と、そんな感じで帰宅したわけです。
なんでそんなに興奮したかといえば、1990年にリリースされたジューダス・プリーストの『ペインキラー』が非常にアグレッシヴで、初めて買ったCDということもあり衝撃を受けたからです。
そのジューダス・プリーストと並び称される、メタルのビッグネームの新作ですから期待しますがな。メディアの前評判も良かったですし。

ワクワクしながらCDラジカセにセット、再生した瞬間に期待を裏切られましたね。
一曲目のBe Quick or Be Deadは曲自体は格好いいんですが、なんか違うんですよ。この「なんか違う」は色んなバンドを聴き込んでから理解できましたが。
まあ、今じゃ通して聴けますけど、当時は何曲か抜き出して聴いてた記憶がありますね。

【「なんか違う」が理解できた】

どのバンドでもそうですが、現在じゃ名盤でも、発表当時は駄作だ迷走だ評価されたアルバムがあります。
アイアン・メイデンの場合、キーボードとギター・シンセサイザーを導入して、重厚で仰々しいサウンドになった『サムホエア・イン・タイム』と『第七の予言』がそうじゃないですかね。僕なんかはあれくらい重厚な方が好きなんですけどね。
で、アイアン・メイデンの作品を一通り聴いてみて、本作はサウンドの原点回帰かつ楽曲の新機軸に挑んだターニング・ポイントだと解釈してます。

前述の「なんか違う」は、サウンド自体がメタルってより1970年代のハードロックなんですよね。特にギターが。
当時のメタルはもっとギターが前面に出てて、ドンシャリ系の音が主流でしたから、違和感を覚えたのも理解できます。現在じゃこのサウンドに僕は肯定的です。
何故なら、ディープ・パープルやホワイトスネイク、ブラック・サバスなんかの代表作を手がけ、永らくアイアン・メイデンのプロデューサーを務めたマーティン・バーチの引退作だからです。
つまり、イギリスのロック・バンドにしっくりくるウェットなサウンドは本作以降、聴けなくなったわけですから。

【ヤニック・ガーズの貢献度】

前作『ノー・プレイヤー・フォー・ザ・ダイイング』から加入したヤニック・ガーズの存在も、ブリティッシュ・ハードロック風のサウンドに貢献してますね。
彼は所謂リッチー・ブラックモアのフォロワーで、プロ・デビューしたホワイトスピリットなんか、ディープ・パープルそっくりの曲がありました。
なので、Fear Is the KeyなんかレインボーのStargazerとブラック・サバスのHeaven And Hellをミックスしたような曲ですが、ひっじょうに、マッチしてるんですよね。冗談抜きでロニー・ディオが歌ってもおかしくないような。

あと、リッチー・ブラックモアに強い影響を受けてるギタリストって自己顕示欲が強いんですが、全然出しゃばってないんですよね。
逆にWasting Loveのような、アイアン・メイデンにしては異色のバラードで作曲能力の高さと、ギタリストとしての引き出しの多さを聴かせてくれます。

【だってイギリスのバンドだもの】

名曲じゃありませんが、ホワイトスネイクっぽいChains Of Miseryや、レッド・ツェッペリンのKasimirっぽいThe Apparition、典型的な1970年代チューンのWeekend Warriorなんかは個人的に好きですね。
お馴染みのギター・ハーモニーもシン・リジィっぽい箇所があったり、1970年代のハードロックが好きな僕のツボをついてます。
そもそもアイアン・メイデンはイギリスのバンドですから、全然ミスマッチじゃないと思いますね。実際、シン・リジィやザ・フーのカヴァーもしてますし。
ここらへんが評価が分かれるんじゃないですかねえ。

【総評】

Be Quick or Be DeadやFrom Here to Eternity、Afraid to Shoot Strangers、Fear Of The Darkといったファンが期待する楽曲の他、Judas Be My Guideといった隠れた名曲もあり、アイアン・メイデンを代表するアルバムの一枚であることは確かでしょう。
聴き逃しがちですが、ニコ・マクブレインのドラムがタイトな音になってる点も良いですね。『ノー・プレイヤー・フォー・ザ・ダイイング』はちょっと金物が耳障りな気がしますから。(でも、あのスネアの音は好きだ。)
ただし、最初の一枚にしてはインパクトが薄いかな、と思います。


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